エピソード

2024.07.11
タイトル

がんが恋愛に与えた影響

エピソード本文

私の体験談として成功事例を紹介したいところですが、残念ながらそうではありません。恋愛は、私が白血病になり最も大きく影響を受けたことの1つです。造血幹細胞移植を受けることになり、不妊になると分かったときに、“結婚は難しいかもしれない”と覚悟はしました。今でこそ妊孕性温存についてよく聞かれるようになりましたが、当時は今ほど一般的ではありませんでしたし、医師から説明があったとしても、私の病気は急性でしたので治療を止めて卵子を保存する猶予があったかはわかりません。また、学生でしたので経済的な問題もありました。

社会復帰を果たして日常生活にも慣れてきた頃には、私は誰も好きにならないようにと思うようになっていましたし、好きになったとしても何も望まないようになりました。最初から壁を作って異性と接するようにもなりました。もし誰かを好きになったり、好きになってもらえたりしたとしても、子どもを産めないと分かればその先の関係は望めないだろうと思ったからです。私は子どもを産めないという理由で拒絶されることをとても恐れていましたし、今でも恐れています。

今、おかげさまで仕事・趣味などで毎日充実しており、仲間にも恵まれているのでお独り様でそれほど困っていることはないのですが、人生のパートナーと出会いたいという気持ちは心のどこかにいつもあります。幸せな結婚をしたサバイバーにアドバイスをもらい、婚活に挑戦したこともありますが、すぐ怖じ気づき、やはり一人の方が楽だなという思考に戻ってしまいます。

たくさんの挫折を乗り越え、幸せな結婚をした仲間も周りにいますので、めげずに何度でも立ち向かうことが大事と痛感しています。でも無理に頑張る必要はないとも思っています。同じようなことで悩んでいる皆さんにも、悲観的になりすぎず、でも「一人じゃないよ!」とお伝えしたいです。

*AYA世代のがんとくらしサポート(https://plaza.umin.ac.jp/~aya-support/experience/145/)より転載*

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