エピソード

2024.07.11
タイトル

胃を全摘出してからの社会とのつながり

エピソード本文

23歳の時に胃がんと診断され、胃、脾臓、胆のう、食道下部の摘出手術を行いました。術後1ヶ月頃、当時の食事量は大袈裟ではなく「うどん一本で満腹」という状態でした。当時58kgあった体重も41kgまで落ちてしまいました。

うどん一本で満腹になり、お酒も飲めなくなった23歳の僕は自分の症状の悩みに加えて人間関係にも悩むようになってしまいました。同世代の友人と会う時の一言は「飲み行かない?」か「ご飯食べに行かない?」が大半を占めていて、当時の僕にはどちらもできないことでした。そんななかでも病気の事情を伝えている友人とは連絡を取り合っており、僕はウーロン茶で参加のような形で飲み会や食事の場にも参加していました。当然友人には「気にせずに好きに食べて」と伝え、本気でそのように思っているのですが、好きに飲み食いしている友人達の輪にウーロン茶のみで居続けていることは正直しんどかったです。なので次第に誘いは断るようになってしまい、友人との交流がほとんどなくなりました。

しばらくは深く落ち込み孤独感もとても強かったのですが、「新しい人間関係を作ろう」と思い、自分の病気を知らない人と知り合うなり積極的に交流することにしました。

学生時代の友人の場合、飲み会や食事で交流することが主でしたが、それ以外にも交流をする方法はたくさんあることに気づいていませんでした。お酒が飲めなくなってもコーヒーや紅茶は飲めるようになったり、脂っこい食事はできなくても後遺症による低血糖の影響もあってデザートが逆に美味しくなったり、自分が可能な範囲で交流がしやすい友人を見つけて何とか交流関係を築いていきました。その際にはとにかく相手の事に興味を持って質問したり、共通の趣味の話をしたり、時には嘘をついたり、自分の過去を聞かれないように会話をしていました。そのように新しい交流関係を深めていくうちに「触れられたくない過去があるのは誰でも同じ」と思い始め、自分の病歴について落ち込むことも減っていきました。そして試行錯誤を続けているうちにも食事量は回復し、最近は飲み会などにも問題なく参加するようになりました。

*AYA世代のがんとくらしサポート(https://plaza.umin.ac.jp/~aya-support/experience/24/)より転載*

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副作用・後遺症 / 手術

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