- タイトル
病気を受け入れる
- エピソード本文
告知の瞬間、突然「私」から「がん患者」に変わってしまいましたが、実感はなく、なかなか受け入れられませんでした。一番不安だったのは、初診から告知(病名確定)までの約2週間。そこから最初の治療である手術までも約1カ月あり、動揺と混乱の日々でした。
当時、不安を和らげるためにできたことは、二つだけ。「知ること」と「話すこと」です。
自分の病状と治療を知らなければ、根拠のない不安が膨らむばかり。主治医には緊張してうまく聞けませんでしたが、医療者向け治療ガイドラインを借りて読んだり、当時はカルテを見るにも手続きが面倒だったのでこっそり院内のトイレで書き写し、後で分からない言葉を調べたり。少しずつ置かれた状況を把握し、治療の見通しを理解することで落ち着きました。
それでも一人で抱え込むと押しつぶされそうだったので、信頼できる友人や上司に自分から病名や不安を打ち明け、話を聞いてもらいました。
がんにかかったのは私が悪いからじゃない、やれることを一つずつやるしかない、きっと大丈夫…。生存率などの数字よりも、そんな当たり前の言葉に救われました。気が動転していたことに話すうちに気づき、話すことで自分の考えや希望もまとまっていきました。仕事の引き継ぎや後の復職の面でも、オープンにしたことでスムーズに運んだと思います。
*AYA世代のがんとくらしサポート(https://plaza.umin.ac.jp/~aya-support/experience/13/)より転載*
性格や状況にもよりますが、がんを隠さず語れたことは、私にとっては前向きに受け入れる契機となり、良かったです。支援や情報を得られやすい環境づくりにもつながったと思っています。
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