- タイトル
「過去の自分」や「他者のがんばり」と比べない
- エピソード本文
がんになるまでのわたしは、職場やコミュニティ、家庭の中でいろんな人やプロジェクトに関わり駆け回っていました。
それが突然がんになり、どんどん体調が悪化し、なだれ込むように治療もはじまり。あれもこれもできなくなり、引き継ぎも満足にできずに退職し、一度はすべてのコミュニティから離れました。
特に年単位で準備を進めて担っていた役割を途中で離れてまわりに迷惑をかけることは、今までの生き方から考えると何より心が痛むことでした。
治療が一区切りしても「再発するかもしれない」という不安から自信が持てず、そのような役割に戻ることができなくなりました。また途中で投げ出すのだけは避けたいというのが一番の理由でした。
一方で「がんと就労」「がんと妊孕性」という報道が増えるようになり、治療中に退職した自分は弱かったのかと悔やんだり、心身の状態で妊娠に向かえない自分は母性を欠いているのではと自分を責めたり。がんを経験しても前向きに生きる人の姿を見聞きするほどに、自信を失い挑戦することができなくなった自分はダメな人間だと落ち込んでいきました。
でも、時間が経つごとに少しずつ整理がついて、納得できることも増えてきて。挑戦しない理由をよくよく見つめると「夫とまだまだ一緒に生きたいから、少しでも長く生きることができる選択をしたい」という理由なのだと捉えられるようになり、少しずつですが他者のがんばりとは比べずに生きることができるようになりました。 できない理由よりも、自分が大切にしたいものに目を向けて。小さな「納得」を積み重ねながら暮らしています。
*AYA世代のがんとくらしサポート(https://plaza.umin.ac.jp/~aya-support/experience/88/)より転載*
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