- タイトル
されどがん、たかががん ~病気にかかわらず人生を積極的に楽しもう~
- エピソード本文
私が発病したのは21歳の大学生の時で、その時付き合っていた彼女がいて、6年後に我々は結婚しました。よくある同級生同士の結婚ですが、普通と少し違う点をエピソードとして紹介します。
最初に、闘病中も精神的な支えとなってくれたことは感謝してもしきれません。後から患者会で同年代の人と話していると、闘病中にケンカになったり、別れたりした方が少なくありませんでした。それも一つの判断ですが、あの時の感謝は一生忘れないし、後々良い昔話ができるので、乗り越える価値のある試練だとは思います。
次に、両家の両親への説明に苦労しました。一度がんを患ったということで、伴侶を早くして未亡人にしてしまう可能性が高いのではないかと心配しました。特に彼女のご両親がその点を懸念され、私も自分に娘がいたら同じことを懸念すると思い、悲しいというより当然という感覚でした。とりあえず「5年」再発の有無を見極めてから結婚するとして様子を見ましたが、よく考えたら誰だっていつ死ぬかは分からないので、健康に気を付け、家族と一緒にいる時間を大切にする、それ以上のことはないのかなと思います。
また、不妊治療が確実に必要だと分かっていた点も大きいです。抗がん剤治療によって私の妊孕性が一時的に失われることや、事前に精子を保存する患者さんが多いことを医師から説明されており、精巣摘除手術の翌日に産婦人科に行って、精子の凍結保存を行いました。その後、私は特にやることはなかったのですが、女性側の負担は相当に大きかったです。代わることもできないので、出来る限りサポートしたり、リフレッシュの機会を作ったりして乗り切りました。結婚までの間に、家族計画やある程度の資金計画を話し合っておくことが重要です。
最後に、同じ境遇の夫婦・カップルの仲間がいると大きな支えになります。男同士、あるいは女同士、それぞれの悩みを相談できる仲間がいるととっても心強いです。
がんは大きな出来事ですが、人生それ以上の事件にも見舞われます。むしろがんをキッカケに、一緒に人生という長旅を楽しめる仲間になっていくことが大切なのかなと思います。
*AYA世代のがんとくらしサポート(https://plaza.umin.ac.jp/~aya-support/experience/153/)より転載*
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