エピソード

2024.11.12
タイトル

自分で決める

エピソード本文

検査から1ヶ月ほど確定診断が出ず、やっと病名が分かった時には、腫瘍の大きさが11cmを超えており、一刻も早く治療を開始する必要がありました。
告知された日に「転院、翌日入院、告知された2日後から化学療法開始」とのスケジュールを告げられました。告知されたことに頭が真っ白になっていて、それ以上のことは何も考えられませんでした。

入院した日は発作が出たこともあり(腫瘍が肺や肋間神経を圧迫していたようで、胸痛で失神することが度々ありました)、その日は骨髄検査のみで、IC※などはできませんでした。

入院2日目の朝、担当看護師さんが病室に来られました。その看護師さんは、わたしが気持ちが追いついていないこと、そして治療に前向きでないことを見抜いて、わざわざ(他の仕事を先に片付けて)時間を作ってくださいました。

「抗がん剤は使いたくない」と泣くわたしに、「どうして入院したのか?」、「治療をしないなら、病院には居られない」というようなことをおっしゃいました。一見冷たそうに聞こえる言葉ですが、無理に説得する訳ではなく、「自分で」答えを見つけられるような話し方だったと思います。

今にして思えば「傾聴」のお手本のような対応でした。彼女とお話ししていて気持ちも落ちつき、「わたしは、誰かに言われた(強制された)から治療を受けるのではなく、自分の意志で治療を受けます。」と宣言しました。

治療がうまくいかなかった時、誰かのせいにしたくなかったので。この時の強い意志が、今のわたしの原動力になっていると感じています。

※IC:「インフォームド・コンセント」の略。治療前に、病状や治療方針、期待される効果などについて医療者から説明をし、十分理解した上で患者が同意を示すこと。

*AYA世代のがんと暮らしサポート(https://plaza.umin.ac.jp/~aya-support/experience/46/)より転載*

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