- タイトル
産婦人科病棟でがん治療を受けるつらさ
- エピソード本文
突然の入院は産婦人科病棟。部屋割りに配慮はあるものの、病棟には妊産婦さんもいます。急な入院だったこともあり、最初の数日は妊婦さんと同室でした。
仕方のないことなのに、流産からそう間もなくの治療だった身には見聞きするものすべてがつらい日々。自分ががんで失った未来の中にいる人を見るのがつらくて。そんな風に感じてしまう自分がどんどん嫌になり、誰にも打ち明けられずに心が潰れていきました。
一方、病棟で話しかけられるのは、ほぼ母や祖母世代の人。自分よりうんと若いがん患者の存在にショックを受け、自分の子どもや孫を重ねて心配して話しかけてくれます。「まだ若いんだから頑張って」「親より先に死んじゃ絶対だめよ」「(結婚しているなら)お子さんは?」「赤ちゃんは?(この先産めるの?)」善意の心配からくることばだと判っていても、心にぐさっときました。
でも冷静に振り返ると、自分も他の患者さんを傷つけるようなことばをかけてしまったことがあったと思います。患者とはいえ、みんな告知されて間もない混乱や不安の中。仕方ありません。
治療後随分経って、AYA世代のがん経験者の友人たちと出会い、同じように感じた経験のある人も少なからずいて。「そう感じたのは自分だけじゃなかったんだ」と、心の痛みが少し和らぎました。
誰も悪くなくたって「つらい」と、一声こぼしていいよ。5年前の自分に言ってあげたいです。
*AYA世代のがんとくらしサポート(https://plaza.umin.ac.jp/~aya-support/experience/91/)より転載*
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