- タイトル
答えが見つからない日々、見つけたい意味
- エピソード本文
大学を卒業した私は、就労に苦労していた。ようやくサポートしてくれる団体を見つけ、希望を見つけた時だった。
足のしびれと微熱が続いた。強い風邪や季節の変わり目によるものと言われ、原因がはっきりしない日々が続いた。
ある日、胸の痛みで夜間診療を訪れたが、そこでも原因が分からず、高熱も続き、やっとの事で一度は断られた病院に入院した。その日の熱は40度だった。
原因が分からないまま、孤独な個室で父から愛犬の死を知らせるメールが届き、悲しむ暇も無く、様々な検査が続いた。そして、事前に恐ろしい内容を説明された初めての骨髄検査を受け、急性リンパ性白血病だと知らされた。
初めてのことばかりの日々が続いた。抗がん剤治療で泣いた日もあった。
ようやく退院できた後は、ひたすら好きなことをした。ずっとやりたかった事を叶えて、思い出もたくさん作った。就労への道も、より自分に合った形に変え、楽しい人生を実現しようと思った。新たに子犬も迎え、新しい人生が始まると思っていた。
そんなある日、電話に出た父から、先日の骨髄検査の結果が悪いので、病院に来て欲しいと、連絡が来た事を知らされた。
再発を知らされて、絶望した。
あの苦しみをまた味わうのか。
ストレスで、高額な買い物をした。楽しい人生を続けたかった。苦しみの中に、引き戻されるのは嫌だ。そう思った。
先がよく分からないまま入院し、ある日、今後の詳しい説明を受けた。臍帯血移植という方法がある、と。
一筋の光のようなその治療は、去年よりも、苦しい日々が続くとも教えて貰った。
その光に縋った私は地獄を見た。
自分の身体では無くなっていくような点滴による体重の増力、感じたことのないからだのしんどさ、休む暇も無く続く下痢。
苦しみの日々は続いた。ICUに運ばれたり、持病で痙攣を起こしたり、とにかく苦しかった。身体も、精神も。
病院のはからいで、付き添い入院が始まった時、若いのに一人で生きられなくなってしまった。情け無い。そう思い始めた。
答えも信念も希望も幸せな日々に戻れる確信も持てないままだ。
それでも家族は支えてくれる。支えてくれる家族のありがたみを、嫌というほど治療を付き添い入院の日々で、教えられた。
そのためにこの病気にかかったのかどうかは、いまは確信を持っていうことはできない。ただ、いつかは言えるようになりたい。なっていたい。
この日々は、決して苦しみだけではなく、人生に必要な意味のある日々だった、と。
- どんなときのエピソードですか?
診断時 / 診断前 / 治療中 / 治療終了後 / 再発・転移時
- 何に関するエピソードですか?
診断 / 放射線治療 / お金 / 仕事 / 副作用・後遺症 / その他治療
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