- タイトル
家族との葛藤
- エピソード本文
私ががんと分かったとき、真っ先に悩んだのは「両親にどう伝えるべきか」でした。
35歳とはいえ娘の大病にショックを受けるであろうことは予想できましたが、隠すわけにもいかず、手術まで決めて会社に報告した後で話しました。
案の定、特に母が取り乱し、泣き崩れ、食事ものどを通らず10㌔近く痩せました。家族のつらさも後に分かりましたが、そのときは自分のことで精いっぱい。心配はありがたいものの、内心は「泣きたいのはこっち」「かわいそうと言われたくない」「なぜ私が慰めねばならないのか」と、いらだちでいっぱいでした。
治療が始まってからも励まされ、助けてもらった半面、妙な健康食品を勧めてきたり、「ご近所に知られたくないから、近くの薬局は使わないで」と言われたりして、口論もたびたび。「親に迷惑、心配を掛けている」という負い目から弱音も吐きにくく、顔を合わすのも気が重い時期がありました。
本当に立ち入った悩み事を話せたのは、医療者や名前も知らない患者仲間ら、適度な距離のある他人でした。母に苦言を呈してもらうのも、医療者を介した方がうまくいきました。
大事な家族だからこそ、言えないこともあります。AYA世代は親もまだ若く、密接な人間関係の中で気を遣い、自分の方が大人にならざるを得ない切なさを抱えている分、しんどいです。我慢や遠慮ばかりしなくてもいい、時には他人の力も借りて「いい患者」や「いい子」をサボったり、家族と上手に距離を置いてもいいと伝えたいです。
*AYA世代のがんとくらしサポート(https://plaza.umin.ac.jp/~aya-support/experience/14/)からの転載*
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