エピソード

2024.10.25
タイトル

がんの知識と就労継続

エピソード本文

白血病にも種類があります。私が罹患した「慢性骨髄性白血病」は世間一般のイメージ(急性骨髄性白血病など)と異なり、直ちに入院治療を必要とするわけではありませんでした。

診断名が付いた日のことです。自宅に戻ると妻が待ち構えていました。「慢性骨髄性白血病」と伝えるとしばらく黙っていました。そして、突然話し始めたことは、「あなたは会社人間だったけど、もういいでしょ? 会社辞めちゃいなよ。やりたい事をしたり行きたいところに行ったりしたら? 1つだけお願いがあるの。家族の中に思い出を残していってね。これからは1人で勝手な行動はせず、家族と一緒だよ。いっそのこと家族全員で世界一周旅行をしてもいいね」でした。私は仕事柄、病気の予後にある程度知識があったのですが、妻は余命半年くらいとイメージしているのだと考え「僕は3年半くらい生きると思うよ」と伝えました。すると妻の表情が変わり、「抗がん剤ってお金かかるよね。だったら会社をクビにならないでね」と言ってきました。

私がもし自分のがん種に関する正しい情報を知らなかったら、最初の提案を受け入れて会社を辞めていたかもしれません。その後19年間の薬物治療には、数千万円の医療費がかかっています。高額療養費制度のお陰で自己負担は軽減されていますが、それでも結構な負担です。もし辞めていたとしたらどうなっていたのだろうとぞっとしています。がんになったら出来るだけ早く正しい情報を入手し、就労継続のような重大なことは慌てて決断しないことをお勧めします。

*AYA世代のがんとくらしサポートより転載*

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診断時 仕事 患者 白血病
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