エピソード

2024.07.11
タイトル

どんな時も、自分は孤独ではないことを忘れずに

エピソード本文

私ががんを罹患したのは大学4年生の時でした。がんといえば不治の病だと思っていたので、「治る可能性も充分ある」と医師から聞いた時はむしろ驚きました。しかし、突如として日常から切り離され(学校は休み、入院治療が開始)、途方もない「孤独感」に襲われました。同世代の友人たちも支えてはくれましたが、彼・彼女たちには、かつて自分にもあった日常が存在し、自分の居なくなった世界を忙しそうに生きています。また、がんへの知識の不足もあり、お見舞いに来てくれる友達もどこかバツが悪そうでした。なんて声をかけたら良いのか、病状がどうなるのか、分からないからだと思います。

そんな私を救ってくれたのは、過去と現在の闘病仲間でした。ネットで病名を検索し、多くの闘病ブログを読み漁りました。入院生活のちょっとした不便への対処法や、検査結果に一喜一憂する気持ち、長い闘病生活との向き合い方など、多くの学びと共感を得ました。自分の現状が変わらなくても、先人の体験から今後の展望を知り、「同じ気持ちの人がいた」と認知するだけで、随分と気持ちが楽になりました。中には連絡を取り合い、今でも交流が続いている方もいます。

また、たまたま同じ病棟にいた同病の方との交流も励みになりました。ほぼ同じ時期に入院し、同じような経過を辿るので、すぐに意気投合しました。抗がん剤のサイクルが少しずれていたりすると、互いのつらい時に励まし合いました。一方、片方の検査結果が芳しくなかったり、抗がん剤の効き方に差があったりすると、何ともいえない気まずさが生じたりもします。距離が近いが故に、相手を羨んだり、羨まれたりしてしまうこともありました。

「自分と同じ境遇の人を見つけ、語らうことは、孤独の解消になる」と思います。長い人類の歴史の中で、今自分が経験している困難は、過去に誰かが既に直面し、乗り越えてきたものです。孤独に感じるのは、同じ孤独を乗り越え、笑顔で今を過ごしている人たちをまだ見つけられていないだけかもしれません。自分は決して孤独ではないと信じ、早く仲間を見つけられるといいなと思います。

*AYA世代のがんとくらしサポート(https://plaza.umin.ac.jp/~aya-support/news/204/)より転載*

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